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高エネルギー電子・陽子散乱による陽子スピン研究

柴田研究室はHERMESに参加し、 「スピン偏極した高エネルギー電子ビーム」と 「スピン偏極した陽子標的」との散乱実験による 「陽子スピンの謎」 に関する研究をすすめています。

実験はハンブルクのDESY(ドイツ電子シンクロトロン研究所)で行われ、 実験データは東工大にある解析拠点に送られて解析されます。

Summary in English by N. Jennifer

HERMES

HERMESはドイツ・ ハンブルク市 に位置する ドイツ電子シンクロトロン施設(DESY)で のおこなわれています。 26.7GeV 電子蓄積リングで加速された電子ビームを利用した 深非弾性散乱実験です。

右は蓄積リング HERA の航空写真です。 HERMESはリング奥手(西方向になります)に位置しています。 HERMESの左側には ハンブルガーSV のホームグランドも見えています。

陽子スピンの謎を探る

陽子 スピン の大きさは1/2です。 もし陽子がそれより小さな粒子 (クォーク、グルーオン) で構成されているとすると、 その粒子が全体でスピン1/2を構成していることになります。

単純なクォーク 模型では、 陽子は3つのクォーク (u-u-d)から出来ているとされています。 それぞれのクォークのスピンが1/2だということから、 2つのクォークが+1/2、のこりの1つが-1/2であれば良いでしょう。 クォークのスピンの和が1/2になります。


複雑な陽子の構造

現在では陽子は単純なクォーク模型よりも、 さらに複雑な構造をもつ事が分かっています。 1960年代におこなわれた深非弾性散乱実験からは 3つのクォークを結ぶ役割をもつグルーオン粒子の存在が確認され、 また陽子内部でグルーオンがクォークとクォーク反粒子対を 作る事も確認されました。 陽子の運動量の分担を調べた所、 エネルギーが大きくなるに従い、 クォークとグルーオンが運動量をそれぞれ半分づつ分担するように なる事がわかってきました。

スピンについてはどうなっているのでしょうか?

1980年代になると、実験技術の発展に伴い 「偏極 深非弾性散乱実験」 が可能になり、 陽子スピンの構造を調べる実験が スイス・ ジュネーブにある CERN で行われました。 European Muon Collaboration (EMC実験)が報告した実験結果は
陽子中のクォークは陽子スピン1/2の わずか20%を構成するのみである
というセンセーショナルなものでした。この結果は、さらに を実験的に検証する必要性を示唆するものでした。

HERMESは特にクォークに注目して、クォークの種類毎にどのように 陽子スピンを分担しているのか、実験的に確かめる事を目的にすすめらています。

柴田研究室での研究内容

HERMESは世界各国からの研究者から構成される 国際共同実験です。 このような共同実験では参加グループが実験装置や、 物理の解析テーマを分担しながら研究をすすめていきます。
柴田研究室は現在までに、 等の実験装置の開発等を担当してきました。

物理に関するテーマとしては、 「陽子スピンの謎」に注目して

を中心に研究をすすめています。