宮地義之助手( 基礎物理学専攻 柴田研究室)が 第1回 日本物理学会若手奨励賞実験核物理) の受賞者に決定しました。

宮地氏の受賞は実験核物理領域 の推薦によるものです。 実験核物理領域では受賞者の資格を博士の学位取得後 8年以内としています。 従来から実験核物理領域には博士論文を中心とした 新人賞 原子核談話会新人賞) がありますが、 その他に学位取得後8年以内の研究者のためにこの賞が 新たに設けられました。

受賞内容は以下の通りです。

研究内容:

核子がクォークとグルーオンによって どのように構成されているかを理解することは、 現在のハドロン物理の中心的課題の一つである。 核子のスピンの起源は量子色力学の重要な研究対象となっている。

宮地氏らは、 DESY の深非弾性散乱実験 HERMES において、 縦偏極の陽子および重陽子標的に縦偏極した電子/陽電子ビームを照射し、 散乱電子と同時に π、K、p のいずれかのハドロンを検出する semi-inclusive測定を行なった。 フレーバーの異なるクォーク・反クォークごとの 核子スピンへの寄与を分離することに成功している。 その結果、uクォーク、dクォークが それぞれ陽子スピンに平行、反平行のスピンを持つことを 現在までで最も高い精度で示した。 また、海クォーク ubar, dbar, s クォークからの寄与は小さいことが 明らかにされた[論文(1)]。

更に、横偏極した陽子標的に (無偏極)陽電子ビームを照射して生成 π+-の 方位角分布を測定した。 陽電子の散乱平面と π+-の生成方向の角相関を測ることによって、 Sivers型とCollins型と呼ばれる2種の非対称度を 分離することに世界で初めて成功した。 それにより核子内部のクォークの軌道角運動量に関する研究の 端緒を開いた[論文(2)]。

対象論文:
  1. "Quark helicity distributions in the nucleon for up, down, and strange quarks from semi-inclusive deep-inelastic scattering",
    Phys. Rev. D 71, 012003 (2005).
  2. "Single-spin asymmetries in semi-inclusive deep-inelastic scattering on a transversely polarized hydrogen target",
    Phys. Rev. Lett. 94, 012002 (2005).
なお、賞の授与および受賞記念講演は 日本物理学会年会(2007年秋)に行なわれる事が予定されています。